第1章 ドッキリ大作戦!
【シャンクスの場合】
「だあ〜はっはっはっ〜!野郎共〜!飲め飲めぇ〜!」
「…。」
付け入る隙間も無いとはこの事か…。シャンクスさんにドッキリを仕掛けようとしたけど、ターゲットはぐでんぐでんに酔っ払って仲間と宴をしている。
「花子〜!飲んでるかぁ〜?」
「はいはい、飲んでる飲んでる…てえっ、髭ジョリジョリしないで!痛いっ!」
私を膝に乗せ無精髭が生えた顔を首筋に擦り付けるから痛痒くて仕方が無い!こんな状態だとドッキリ仕掛けたところで軽く流されるのが目に見えている。
「相変わらず冷てぇ奴だなぁ…。」
「いつも優しいでしょ。」
「たまには"シャンクスさん、大好き♡"ぐらい言ってみろよぉ〜…!」
糞面倒臭ぇっ!駄々絡みしてくる酔っ払いに助けを求め周りを見渡しても私達の遣り取りを見つめ皆爆笑している。
「なぁ〜…花子〜…。」
「もう!分かったよ!」
捨てられた犬の様にしょんぼりとするシャンクスさんに痺れを切らした私は、手に持っていたお酒を一気に飲み干しダンッとジョッキを床に叩き付け勢い良く彼の首に腕を回した。
「シャンクスさん…大好き…。」
「っ!」
彼だけに聞こえる様に耳元で囁やけばぐでんと力の入らなかったシャンクスさんの身体がコチンッと強張る。しん…と辺りを静寂が支配した後、割れんばかりの笑い声が響き渡った。
「おっ…お頭っ!ブッ…何だよっその顔っ!」
「ヒーヒッヒッ!こりゃあ傑作だぁっ!」
「赤髪のシャンクスも惚れた女には型無だなっ!」
え?どう言う事?笑い転げる皆に理由が分からず首を傾げる。てか、ヤソップさんとルウさん大丈夫?笑い過ぎて嗚咽し始めたけど。
「もう…皆なんなの…。」
シャンクスさんから身体を離した瞬間、私は言葉を失った。燃える様な赤い髪と同じくらい彼の顔は真っ赤で時が止まった様に固まっている。
「えっと…シャンクスさん?」
「?!見るなっ!」
「くくくっ…!花子、お前何したんだ?」
肩を震わせ笑いを堪えているベックマンさんに尋ねられ先程シャンクスさんに言われた事をしたと伝えると、彼はまた可笑しそうに笑い出した。
「っ〜きしょうっ…!カッコ悪い…。」
恥ずかしそうに片手で赤い顔を覆うシャンクスさんはちょっぴり可愛かった。
検証結果…シンプル・イズ・ザ・ベスト!