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思い付き短編小説

第1章 ドッキリ大作戦!


【ローの場合】


遂にこの日がやってきた!クールビューティ!ポーカーフェイスの彼の顔が崩れるその日がっ!

「さぁ!ロー君!今日こそ年貢の納め時よっ!」

「…ノックして入れ。」

バァーンッとロー君の部屋の扉を開け声高らかに宣言すると、長い御足を組み本を読んでいた彼は呆れた顔で私に視線を移す。

「ねぇねぇロー君!お願い聞いて?」

「…内容による。」

目を爛々と輝かせ前のめりに近付く私の顔を鬱陶しそうにロー君は手で退かせる。…仮にも好きな子にその態度酷くない?

「ね〜え?…だめ?」

「…。」

しかし私は知っている!ロー君が私に甘い事を!小首を傾げ上目遣いでお願いしたら案の定、うぐっと唸り渋々頷いてくれた。

「で…何だ。」

「難しい事じゃないよ!立ち上がって両手で本持って!」

気怠げに立ち上がり肩の高さで本を持ち上げるロー君の姿はそれだけでも眼福眼福。

「はぅ…ロー君…イケメン…!」

「…下らねぇ事なら止めるぞ。」

「待って待って!…ちょいと失礼!」

腕が痛いとか言ってるけど君いつもあんな大きな刀振り回してるよね?腕を下ろされそうなので私は慌てて彼の腕の中に身体を滑り込ませた。

「絶対、動かないでね!」

背中を向け念を押す私にロー君は何も言わず溜め息を溢す。取り敢えずこれで準備は整った!私は勢い良く振り返り彼の細くも鍛え抜かれた身体を強く抱き締めた。

「ロー君、ぎゅーっ!」

「…。」

あれ?無反応?更に腕の力を強めるけどロー君からは何の反応も返ってこない。少し面白く無い私が顔を上げようとした時、背後で本が落ちる音と同時にこれでもかって言うぐらい強く抱き締められた。

「ぐえっ…!ろーくっ…!」

「…。」

ちょっ!内蔵出るっ!?絞め殺す勢いで抱き締めるロー君の背中を叩くと、ふわりと身体が宙に浮きソファーに押し倒された。

「え…?」

「構って欲しいんなら言えよ。」

優しく私の頬を撫でるロー君の瞳はギラギラと鋭い光を放ち一瞬で身の危険を感じた。

「あ、いや…これはドッキリ…。」

「折角のお前からの可愛いお誘いだ。存分に可愛がってやるよ。」

後日、ロー君がペンギン達にあのか弱く小さな可愛い生き物は俺が一生守ると決意表明していたとか、いなかったとか…。


検証結果…ドッキリを仕掛けたら彼の中に庇護欲が生まれました。

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