第2章 1日遅れのBirthday
ロー side
あいつ等が何か企んでたのは分かっていた。分かり易いぐらい挙動不審で俺を部屋から出さない様にしていたからな。まぁ、花子との時間をゆっくり取れるし甘んじて従ってやったが…。
「「「キャプテン〜!誕生日、おめでとう〜!!」」」
夕飯が出来たとペンギンに呼ばれ花子とキッチンに向かえば扉を開けた瞬間、大量のクラッカーの音とあいつ等の声。
「…。」
「キャプテ〜ン!おめでとう〜!」
「驚きました?」
ベポが俺に飛び付き他の奴等も悪戯が成功した餓鬼みてぇにしたり顔だ。完全に忘れていたが…。
「あぁ、驚いた。」
「やったぜっ!今年も大成功だ!」
「キャプテン、感が鋭いからバレねぇか冷や冷やしてたけどな!」
こいつ等も毎年毎年飽きもしねぇで。騒がしいのは余り好きじゃねぇが、たまにはいいもんだな。
「キャプテン!早く座ってください!花子もそんなとこに突っ立ってねぇで!」
「う…うん…。」
誕生席だと飾り付けられた椅子に案内され俺の隣に花子は何処か戸惑った様子で腰を下ろす。
「え〜…本日はお日柄も良く〜…。」
「いや、長ぇよっ!?」
長ったらしいシャチの前置きを聞きながらふと花子の方に視線を向ければ何故か落ち込んでいる様に俯いている。
「どうした?具合でも悪いか?」
「ううん!そんな事ないよ!」
パッと笑顔を見せるがその表情はぎこちない。昼間、少し構い過ぎたか?そんな事を考えているとシャチの長ったらしい演説も終盤に差し掛かる。
「何やかんやありましたが…キャプテン!誕生日おめでとうございます〜!」
「「「おめでとう〜!キャプテ〜ン!!」」
「ありがとよ。」
それからはいつもの如くどんちゃん騒ぎだ。祝いのダンスやら歌やら…よく分かんねぇ一発芸やら。自分の事の様に嬉しそうにしているこいつ等に自然と笑みが溢れた。
ーーーーーー
「皆、楽しそうだったね。」
「毎度毎度、大袈裟だがな。」
自室に戻った俺は少し気だるい身体をソファに沈める。俺の隣に腰掛けた花子はやはりどこか元気がない。
「ねぇ…ロー君…。」
拗ねた様な少し怒った様な顔の花子に俺は理由が分からず首を傾げた。
「私…ロー君の誕生日…知らなかったよ…。」