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思い付き短編小説

第2章 1日遅れのBirthday


花子 side


分かってるよ!ロー君が自分の誕生日なんて気にしていない事ぐらい!ペンギンに呼ばれてキッチンに向かったロー君を待っていたのはクラッカーの音と彼を祝福する皆の歓声。チラッとロー君を盗み見れば驚いた様に目を見開いていた。

「…私だってお祝いしたかった。」

「してくれたじゃねぇか。」

「皆でね!個人的にしたかったの!」

しかも当日、直前まで知らなかったから何も用意出来てないし、今までお誕生日会で盛り上がってたからもう日付も過ぎてしまっている。

「うぅ〜…私だってご馳走作ってプレゼント用意して…まず1番におめでとうって言いたかったよぉ〜…。」

大体、皆も教えてくれたって良かったじゃん!いや、まず彼氏の誕生日知らない私が悪いんだけどさ!何かこう、ヒントぐらい…。

「…別に何もいらねぇよ。」

「そう言う問題じゃない!」

そりゃあ…ロー君は欲しい物は自分で手に入れられるだろうけど…そうじゃなくて気持ちがさぁ…。うじうじイジケていると突然ふわりと身体が浮いた。

「本当に何もいらねぇよ。」

「…はいはい、貴方そう言う子でしたねぇ〜。」

向かい合う様にロー君の膝に座らされ私を見つめるロー君に子供みたいにムッと頬を膨らませツンっとそっぽを向く。

「お前が俺の側にいる…それだけで俺には一生モンのプレゼントだ。」

「っ…。」

抱えているクッションを退けて私の頬を包み込むロー君はすっごく幸せそうに微笑み、その甘く優しい声にきゅうぅって胸が締め付けられた。

「くっ…!そんなの反則だっ…!」

「本当の事なんだから仕方ねぇだろ。…そんなに何か贈りてぇってんなら…。」

駄目よっ!花子!ここで絆されたらっ!ロー君の悩殺笑顔に何とか耐えていると彼はそっと私の耳元で囁いた。

「お前を…俺にくれよ。」

「…ロー君もそんな事言うんだね。」

いや、よくあるよ?プレゼントはわ・た・し♡って。まさかロー君がそんなベタな事言ってくるとは思わずスンってなってしまった。

「いいだろ?お前からは何も貰ってねぇんだからよ。」

「…さっきいらないって言ったよね?」

先程の甘い顔は何処へやら。すっかり意地の悪い顔になったロー君はそっと私を押し倒す。

「ロー君、お誕生日おめでとう。」

「あぁ…最高の誕生日だ。」

貴方に出会えて良かった…。

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