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思い付き短編小説

第2章 1日遅れのBirthday


花子 side


「…悪かった。」

「…。」

「…俺もあいつ等が言うまで忘れてたんだ。」

いつものロー君の部屋のソファに腰掛け気まずそうに口籠るロー君に私はクッションを抱えツーンと顔を背ける。何故、こんな事になったかと言うと…。

ーーーーーー

10月6日。今日は朝から何だか皆騒がしかった。いつも賑やかだけど慌てているって言うよりはソワソワしている感じ?

「ねぇねぇ、ロー君。何か今日皆可笑しくない?」

「いつもの事だろ。」

昼食を食べ終え一緒に自室に戻ったロー君に尋ねてみるけど、特に気にした様子も無く長いお御足を組み優雅に医学書を読んでいる。

「絶対可笑しいよ!何かソワソワ?ワクワク?していて落ち着かない感じだもん!」

「3日後に島に着く予定だから浮かれてんじゃねぇか?」

確かに今回は船での生活が長かった。私だってロー君から聞いた時は小躍りする程喜んだけど…。

「…聞いてくる!」

「あ?」

気になったらすぐ行動!勢い良くソファから立ち上がり部屋を出て行こうとする私を引き止める様にロー君が腕を掴んだ。

「別に今行かなくてもいいだろ。」

「だって気になるもん!すぐ戻って来るから待ってて!」

きっと皆何か面白い事を企んでるに違いない!私だけ仲間外れは嫌だもん!なおも出て行こうとする私にロー君は少しだけ顔を顰め、読んでいた医学書をテーブルに置くと掴んでいた腕を引き寄せた。

「お前の仕事は俺の相手だ。」

「…ずっと本読んでた癖に。」

向かい合う様にロー君の膝に跨る私の頬をロー君は愛おしそうに優しく撫でる。そんな仕事請け負った覚えは無いけど…ロー君イケメンっ!

「…。」

「ふふっ、擽ったいよ〜。」

ぎゅっと抱き締められスリスリと甘える様に首筋に擦り寄るロー君の髪が擽ったくて思わず声が漏れる。前から思ったけどロー君、スキンシップ好きだよね。

「ん〜…じゃあ、後でいいか!」

「あぁ、お前は俺の側にいればいいんだよ。」

チュッと可愛らしいリップ音の後、私を包み込む様な甘く深いキスが送られる。結局、絆されてしまうのだからイケメンとは罪な生き物だ。暫く、イチャイチャしていると扉をノックする音が聞こえペンギンが楽しそうに入って来た。

「キャプテン!夕飯の準備が出来ましたよ!」

ここで事件は起こった…。

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