第11章 MENピグリンブルート目線
一瞬困惑した。俺の言葉が通じた? いやいや、そんなはずはないと俺の頭に小さく囁く。
「正式には、ピグリンブルートだが……」
試しにそう言ってみた俺。女の子の目はますます輝いたように見えた。
「ピグリンブルート、かっこいいお名前!」
「……!」
やっぱり、こいつ、俺の言葉が通じてる!
嬉しいような、恥ずかしいような複雑な気持ちになったが、だったらなぜそんなにMOBを連れているのかも聞き出してやろうと思ったのだ。
「言葉が通じるなら早い。お前、なんでそんなにMOBを連れてるんだ?」
すると女の子はきょとんとした顔をした。当たり前じゃないというかのように、こう続けて。
「パパとママが、私のお誕生日に五体のMOBちゃんを飼ってくれるの。だから最後のMOBちゃんを探してるんだ♪」
実に楽しそうに話す女の子。五体という割り切れない数字に、俺は違和感を抱いた。
「なんで五体も飼うんだよ?」
「あのね、パパも五体MOB飼ってて、ママにも五体のMOBを飼ってるの!」
だから、自分も五体欲しいと思ったのだそうだ。前にそう言っていたのをパパとママが覚えており、それを誕生日の翌日にこうしてMOB販売所にやって来たのだ、と。
「なるほどな」
だが、俺の疑いがまだ晴れた訳ではなかった。そんなに家にMOBがいるというのなら、全MOBバトルロワイアルだって開催されてもおかしくない。