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こちら、MOB飼育係3[dzl]

第11章 MENピグリンブルート目線


 どうやって女の子からMOBをあんなに飼おうとしている本当の理由を聞き出せるのかと思案していた時、彼女がぽつんとこう言った。
「戦わなくても大丈夫だよ」
「……は?」
 その一言で、俺の全てがぶった斬られる思いだった。
「ブレイズちゃんもエルダーちゃんもケンカするけど、本気で怒ってたりしてないから。それにそれに、毒蜘蛛ちゃんだってかわいいし、雪だるまさんは優しいんだよ♪」
 それから、ウーパールーパーや牛の話、ホグリン、パンダだけでなく、豚もいるらしく、いつも寝てばかりのスケルトンもいるという話を聞かされて驚いた。そのMOBには、もはや友好や敵対関係なくたくさんいるということ。そして、皆仲がいいということ。
「その話、本当か?」
「うん!」
 女の子がそう頷いた直後、後ろから声が掛かって俺は顔を上げた。女の子を呼ぶ声だ。ここで色々と話しすぎて、かなり時間が経ったようである。そろそろ帰ろうと話してる。
「待って、ママ」女の子はママを呼んだ。「あのね、最後のMOBはこの子にする」
 俺を指さして。
「え”」
 驚き過ぎて変な声が出た程だった。俺はいつも、ピグリンブルートの中では珍しく斧を捨て、ツルハシを持った漢の中の漢。この飼育カゴの中ではだいぶ窮屈さを感じていたが、まるで動物園、否MOB園のような女の子の家で果たして俺が馴染めるとは思えない。
「いいのかい、アリス」
 アリスと呼ばれた女の子が、パパらしき人物に再確認をする。アリスはもう一度俺を振り向いて訊ねてきた。
「ね、お家に来る? ツルハシ使えるところいっぱい探してあげる!」
 アリスは俺のツルハシを目で指して言った。こいつは俺が何をしていたのか、近づいてくる前から見ていたのか。せっかく脱出のために穴を掘っていたところだったのだが、まぁ脱出くらい、アリスの家に行ったあとでもいいか。
「俺は脱走するつもりだったんだが」
 するとアリスは無邪気そうに笑った。
「だったら隠れんぼが出来るね!」
 俺はこのアリスに色々と巻き込まれそうだなということだけは勘づいたが、意外にも快適な生活が送れてつい脱走のことなんて忘れてしまうなんて、この時は思ってもいなかったのだ。

おしまい
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