第9章 おんりーゴーレム
人間の女の子が、後ろに大人の人間を二人連れて近づいてきた。
きっと親子だろうと思った。ということは、アイアンゴーレムを護衛の一匹として飼いに来たんだろうと思った。
そんな俺もアイアンゴーレムの一匹だ。エンダーパールで敵にすぐに距離を詰める特訓をしているのだが、他の仲間はそこまでして護衛をする必要はないだろうと言ってくる。いつかきっと役に立つはずだ。俺はエンダーパールを投げて素早く動く練習をしていた。
「足が早いんだね」
と声を掛けてきたのは、先程ちらっと見えていた女の子だった。あぁ、エンダーパール使ってるからねと持っていたパールを見せると、女の子がぐっと顔を近づけてきた。
「それ、エンダーパールって言うの?」
「え……もしかして、言葉分かるの?」
「うん!」
そう言ってケラケラと笑う女の子。後ろの両親が怪しむ様子もない。こうしてMOBと話すのは今に始まった訳ではなさそうだ。
「エンダーパールで君のこと守れると思うんだけど」
「へぇ、エンダーパールで?」
「うん」
「ふぅん……」
女の子はこの話には興味がない様子で、周りをキョロキョロしたのち、やはり俺に視線を戻してこう言った。
「おんりーちゃんって名前はどお?」
「え?」