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[R-18]セックスしないと出られない部屋【ヒロアカ】

第2章 爆豪勝己の場合


「何してんだテメェ!」
上から低い声で聞こえ、思わず顔を離す。
「な、何って、治療だよ!り、リカバリーガールほどじゃないけど、私の個性は粘液に少しだけ治癒効果があるだけだから……」
そう言って見上げると、予想外にも彼は顔を真っ赤にしていた。
「こっち見んなとっとと治せ!」
「は、はい!」
再び舌を這わせていく。
血の味とニトロ特有の甘味が混ざり、口の中が焼けたような錯覚に陥る。
一通り犬のように彼の右手を舐め終えると、左手も舐めていく。
時折小さく呻き声が聞こえると、沁みるのかなと思いながら傷を舐め切った。
多少傷の塞がった手のひらにホッとし、手を離す。
すると爆豪くんはスッと立ち上がり、今度は何も言わずに再び壁への爆破を始めた。

それから、何度も爆破をして、治療して。
時計の長針がさらに2回転したくらいで爆豪くんは再び床に倒れ込んだ。
「も、もう唾液でないよ」
喉もカラカラ、爆豪くんはこちらをじっと見ると、ふいに視線を逸らした。
「チッ、なんでもねえ」
「そんな……」
文句の一つでも言われるかと身構えたのに。
「…………もう、諦めようよ。いつまでもここでこんなことやってても何も進まないよ。せっ…………くす、するだけ、してみょぅょ……」
自分で言ってて、語尾が弱くなる。
「テメェ自分で何言ってんのか分かってて言ってんのか」
「わ、わかってるよ!けど……それしかないじゃない」
傷こそつくものの壊れない部屋。
「それにここ……窓も、換気扇もないし」
彼もその事にはとっくに気づいていたのだろう。
少しずつ薄くなっていく室内の酸素濃度。
あとどれ程の時間があるかわからないけれども、ゆっくりと死へのカウントダウンは刻まれていっている。
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