[R-18]セックスしないと出られない部屋【ヒロアカ】
第3章 緑谷出久の場合
「私の?私のは……傷を舐めて治す、治癒の個性だよ。といってもリカバリーガールみたいに凄い効き目があるって訳じゃないけど……」
「部屋を出る為に使うってのは難しそうだね」
「役に立てなくてごめん……」
そういう意味で言ったんじゃないよと慌てる緑谷くんを見て、思わず笑いが漏れる。
「ヒーロー科の人って、もっと怖いイメージだったけどそうでもないんだね」
「ええっ、怖いイメージ、あるの?全然だよ!みんなとってもいい人たちだし!」
「そうなの?体育祭とか見てたけどなんだかみんな凄いし、住む世界が違う人たちみたいだったから……」
「全然全然!!みんな普通の高校生だよ!」
そうして、他愛のないおしゃべりで意識を逸らす。
どれくらいこうして話していたのだろう、気がつくと時計の長針は2回ほど回転していて、私は勇気を振り絞って小さな声で告げた。
「………しよっか」
「えっ」
「ここがどこかもわかんないし、先生方が助けに来てくれるって確証もない。本当に出れるかどうかはわかんないけど……試さないよりはやるだけやった方がいいんじゃないかって思うんだ」
「け、けど、それは」
「緑谷くんは、私が相手じゃ嫌?」