第1章 寝言の秘密
「え……なんでぼんさんがここに?」
二時間くらい経った頃、何も覚えていないだろうおんりーちゃんが目の前の俺に驚いて目をパチパチとさせた。
「これはね、ドズルさんに様子見てこいって言われて、それで」
と俺が目で指せば、うわぁっと明らかに嫌がる様子で俺の腕を突き飛ばした。突き飛ばすことはないじゃない、突き飛ばすことは。
「す、すみません……」
寝起きのおんりーちゃんはすぐに体を起こして姿勢を正し、謝りながら俯いた。おんりーちゃんの膝の上に置かれた拳が固く握られている。
「いいのよ、別に。それより、眠れたの?」
俺は気にするなと手を振りながらおんりーちゃんの隣のソファに腰を下ろす。ずっと床に座っていたからか、足が痺れていたことに今更気づいた。
「はい、おかげさまで」
こう答えた時のおんりーちゃんは、もういつも通りのおんりーちゃんだった。
そう、それはよかった。俺はそう答えながら手元の麻雀アプリの試合を終わらせた。まだ足が痺れているので膝をさすっていると、おんりーちゃんはこう訊ねてきた。