第1章 寝言の秘密
談話室の扉を出来るだけゆっくり開けると、部屋は言っていた通り、電球色しか点いていない暗さだった。
物音もしないし、やっぱ寝てるんじゃないかと俺は思ったが、適当な報告をしたらしたで「ちゃんと顔まで見ましたか」なんて問い詰められてドズルさんに嘘が見抜かれるから、おんりーが寝ているのかどうかは確認したい。それに、おんりーちゃんが眠れていないなんて知らなかったから、普通に心配だ。
談話室は俺が覚えている限りなら、低いテーブルと、ソファが二つ向かい合っている小さな部屋だったはずだ。となると、おんりーちゃんはソファに寝ていそうなんだが、床で寝ているのを思わず踏んでしまわないように気を付けながら部屋の中へ進んだ。間もなく、寝返りを打つような音が聞こえた。
起こしただろうかとソファに近付くと、予想通りそこにおんりーちゃんが眠っていた。といっても、本当に眠れているのかはよく分からない。眉間にシワを寄せて寝てるなんて、絶対よく眠れてないでしょ。
もうちょっと力抜いたらいいのに。
おんりーちゃんは真面目だから、難しいのかもしれないけどね。なんて思いながら、おんりーちゃんの眉間のシワが解れないだろうかと指を伸ばしかけた時、もぞもぞと動いたので起こしたのかとすぐに手を引っ込める。