I'll always be with you【アイナナ千】
第20章 ファーストキッス!
百くんと話してから仲直りの仕方、私の気持ちのケリのつけ方をぐるぐると考えていた。
解決が分からないまま、千さんと会う予定の日になってしまう。
千さんの家を飛び出てきちゃったから、正直会いづらい。
でも、百くんの言う通り千さんのラビチャのメッセージは怒ってる感じはなかった。
『お、お邪魔します...』
「よそよそしく入ってこなくていいよ」
『そうだよね。この前は、急に帰ってごめん』
「ん、いいよ」
千さんの雰囲気はいつも通りだった。
ソファから立って、こちらに歩いてくる。
「里那は?いいの?」
『え、うーん...そういう聞き方する?』
「百から話を聞いた」
『うん、そっか』
百くんは千さんに隠し事は出来ない。
問い詰められたら答えちゃうのは分かってて、相談してるから驚いてない。
「ねえ、里那、これからはちゃんと大切にする」
悪いと思ってくれたのだろうか。
千さんが私をちゃんとしたやり方で慰めてくれている。
「君を幸せにしたいんだ」
『うん。私も、千さんの幸せを誰よりも願ってる』
「やり方は間違ってることもあるかもしれないけど、里那に尽くすよ」
『うん、ありがとう』
ずるい顔も仕草も使わずに言葉で伝えてくれる千さんを見ていたら、心に刺さってた棘が溶けていくようだった。
「君の初めてのキスは僕なんだろう?」
『そうですけど...』
「僕は正直、嬉しかった。こうやって君を抱きしめるのも僕しか居なかったなんて、こんなに嬉しい事はなかなかないよ」
私は千さんにひかれ、すっぽりと腕の中におさまる。
「緊張しなくていい、リラックスして」
『え?』
千さんは私の顔を覗きこみ、鼻が触れ合ってしまうような至近距離になる。
「ふふっ、可愛い」
『ゆ、きさん、?』
心臓がバクバク言ってる。
「これからも君の初めては、全部僕にくれるよね」
あ、、なんか、既視感。