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I'll always be with you【アイナナ千】

第19章 Re:member



その次の週だった。

いつもと様子が違った。

部屋の中に千さんともう一人百くんの姿があった。

なんとなく察した。


『百くん?』
「こんにちは、里那さんお邪魔してます」
「今日は里那に話がある」
『うん、話を聞かせてほしい』


テーブルの向こう側に千さんと百くんが並んで座る。
百くんは緊張しているようで、表情が硬い。
千さんは隣の百くんを見て、微笑んだ。


「僕は百くんとRe:valeを続けていくよ」
『うん』
「里那からの不満なら、いくらでも聞く」

私に申し訳なく思ってくれてるのかな?


「オレがユキさんに頼み込んだんです。バンさんの代わりに、バンさんが戻ってくるまで、期間限定でオレと組んでください!と言ったんです。怒るならオレを殴ってください」
「いや、待て。百くんは悪くない」
『二人とも待って!私は不満なんて無いし、そんな殴るなんて野蛮じゃないから、ね?』
「里那、泣いてるのか?」

ああ、あれ?

「やっぱり嫌ですよね。バンさんの代わりなんて、ごめんなさい。やっぱり殴ってください!ちょっとでもスッキリするなら思いきり!」
『これは嬉し泣きだよ!千さんにこの前も言ったでしょ?応援するって!』


私の感情はバラバラだ。
千さんが音楽を続けてくれて嬉しい。
お兄ちゃんではないRe:valeが寂しい。

千さんはお兄ちゃんのこと、忘れようとしてる?
いや、千さんはお兄ちゃんのこと大好きだった!
千さんは優しい。
お兄ちゃんの事、忘れられない人だって分かってる。
お兄ちゃんの代わり?そんなのいるわけない。



千さんは、隣で慌ててる百くんを見て笑った。

この一ヶ月疲れ果てて、抜け殻のような千さんをずっと見てきた。

久しぶりの笑顔だった。



笑顔が戻って良かった

心の底から、愛しい人の笑顔に安心した。



「里那、ありがと」
『うん、二人とも頑張ってね』
「バンさんは、きっとユキさんが歌ってたら絶対会いにきてくれます!バンさんに気づいてもらえるよう頑張ります!」
『そうだね、お兄ちゃんは音楽が好きだったから』


百くんは、キラキラな笑顔で笑った。
絶対バンさんは戻ってくる!大丈夫!と元気づけられるような笑顔だった。
天性のアイドルだと思った。
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