I'll always be with you【アイナナ千】
第19章 Re:member
『それって、きっと、お兄ちゃんと千さんが仲違いした時って事だよね』
「うーん、そうかもしれない」
『じゃあ、私は左手についていく、千さんの側にいると思う』
お兄ちゃんが掴んでいた右手がそっと離された。
その瞬間なんか分からないけど、泣きそうになった。
「どうして?」
『え、、うーん、私とお兄ちゃんは手を繋いでなくても繋がってるから。例え、正反対に行っても絶対会える自信がある。そういう運命だと思う』
「そうだね」
『でも、千さんは、一回手を離したら、もう会えない気がするんだよね』
千さんがお兄ちゃんと仲違いして真反対に進んでるなら、私は千さんのそばにいるよ。
そしたら、そこにお兄ちゃんは現れてくれると思うんだ。
「はあ、千辞めとけってあんなに言ったのに」
『あはは、私は一途なんだよ!』
「千は、大切な妹にはオススメ出来ないけど。里那が心に決めた人なら間違いないよ」
それって結局どっち?!って思ったけど...
お兄ちゃんはとても優しく笑っていて、その表情から私の事を信頼してくれてるって事なのかなって思った。
今思うと、あの時...右手を握ったままだったら、未来は変わったのかな?
駄々こねて、両方とも離したくないって言ったら、考え直してくれたのかな?
何度も頭で考えた事だった。
でも、結論はこれで良かった、に落ち着いた。
間違ってた、なんて思いたくなかった。
私の選択も
お兄ちゃんの覚悟も
千さんが音楽と道に進んだことも
百くんと千さんのRe:valeも
でも、お兄ちゃんと会えない年月が長くなっていく度に、私とお兄ちゃんの繋がりは無くなっちゃったのかなって、寂しさは増していった。