I'll always be with you【アイナナ千】
第14章 楽屋
千さんは二人の前だろうが、別に気にしてないようで、余裕の表情だ。
「空気読んでよ、モモ」
「ユキ、ごめん!でも、2人が仲良いと妬けちゃうよ〜!」
『ははっ、ごめんね、百くん』
「はあ...なんか父親の気分だよ」
『ちょっ、お兄ちゃんやめてよ』
「また改めて挨拶してあげるよ」
「可愛い妹をよろしく頼むよ」
『勝手に頼まないでよ!』
千さんも百くんも、お兄ちゃんも笑っていた。
また、楽屋でみんなで笑い合える日が来るなんて、想像していなかった。
「本当によかったよ〜!里那ちゃん最後まで見れたんだよね?」
『うん!初めてアイドルの百くんを生で見れたよ』
百くんも私がコンサートを見に来る度、体調を崩すのを知っていた。
優しい人だから、私がコンサートを観に来れない分、私の前で歌ってくれたり、練習風景の動画を送ってくれたりした。
百くんが一から歌やダンスを頑張ってきた姿も見てきた。
アイドルのモモを生で見ることが出来たのも、とても嬉しかった。
「モモちゃんのスペシャルでラブリーなファンサ良かったでしょ?!」
『良かったよ〜!あっ、お兄ちゃんは笑ってたけど』
「いや、笑ってたのはお前だろ」
「ええっ!モモちゃん、笑いのネタになってたの?!モモちゃん泣いちゃう」
「こら、2人ともモモが傷ついただろう。謝れ」
「守ってくれるユキ、イケメン〜!」
「まあ、僕もモモのファンサには、つい笑っちゃうことあるんだけど」
「えっ、ダーリンも?!」
「ふふっ、大丈夫、モモはいつもかっこいいよ」
いつのまにかRe:valeの2人のコントのペースになっている。
『百くんのファンサには元気を貰えるってことだよ』
「昔の千に、百くんのファンサの精神を見習って欲しかったよ」
「万、今日の僕の姿を見てよく言えたな。里那は僕からのファンサを貰って、泣くほど喜んでたけど」
『うわぁ、そう言われると何か減った』
「は?勝手に減らすな」
「ユキのファンサはスーパーウルトラ最高だよ〜!貰った人全員幸せになっちゃうって!!」
『百くんは千さんにいつも甘いんだから〜』
ファンの真似をして、ペンライトを振る仕草をする百くん。
千さんもそれで満更でもなく嬉しそうだから、このコンビはお互いにちょろいと改めて思った。