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I'll always be with you【アイナナ千】

第14章 楽屋




「中に入らないのか?」
『お兄ちゃんから入って』
「やだよ。千は里那に一番に会いたいんじゃないか?」
『そ、そう?』
「もちろん」

お兄ちゃんは大きく頷く。


私は恐る恐るノックすると、はいはーい!という百くんの声が中から聞こえた。


ゆっくり扉を開けようとすると、急にバッと扉が開いた。
『わっ、!』
「待ってたよ〜!」
「2人ともお疲れさま」
「まさか、兄妹で来るとは予想してなかったよ」
「サプライズだよ。いいだろ?」
「さいっこうのサプライズだったよね、ユキ!」
「ああ、今回はやられたよ」


元気に出迎えてくれる百くんと奥のソファに座っている千さん。

百くんは既に私服に着替えていたが、千さんはアンコールのコンサートTシャツのままだ。
着替えもせず、動かないと駄々をこねていたのが想像出来た。


「里那、おいで」
千さんがソファから立って言った。


衣装もメイクもそのままだからだろうか、いつもの千さんと違く見えて、緊張する。
さっきまでステージ上で輝いていたアイドルが目の前にいる。


私は背中を軽く押されて、2、3歩前に出る。
そこからゆっくりと千さんの方に自ら歩き出す。
千さんの前に立つとゆっくりと抱きしめられる。


「君の姿を見つけて驚いたよ」
『うん...』
「一瞬、歌詞が飛びそうになったよ。勘弁してくれ」
『ごめんね?』
「いいよ。来てくれてありがとう」
『なんか...幸せで夢の中の出来事じゃないか心配』
「こんなに嬉しい事を夢にしてたまるか」
『そうだね。千さん、かっこよかったよ』
「惚れ直したでしょ?」
『はは、そうだね』
「ちょっ、良い雰囲気のところ悪いけど、2人だけの世界やめてよ〜!俺たちもいるんだよ?!」


抱きしめられていた身体が離れ、振り返るとお兄ちゃんと百くんの顔が目に入り、急に恥ずかしくなる。
二人がいる事、全く気にしてなかった...。

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