I'll always be with you【アイナナ千】
第14章 楽屋
『最高だったね!』
「うん、良かったね」
『興奮がおさまらなくて、今日寝れるか心配』
「凄いはしゃいでいたから、疲れてぱたりと寝れるんじゃない?」
『そうだといいけど』
退場のアナウンスが流れ、その指示に従って出口に近いところからファンのみんなが退場していく。
荷物を整理していると、お兄ちゃんに背中をつつかれる。
『ん?』
「見て」
見せられたのは千さんとのラビチャ。
【楽屋に来て。来るまで僕はここから動かないから】
勝手にアリーナの楽屋を占拠する宣言してる。
お兄ちゃんも、やれやれという表情で笑っている。
「行こうか?」
『そうだね、岡崎さんと百くんが困り果てるのは可哀想だからね』
舞台裏に続く扉の警備員さんに、小鳥遊事務所MEZZOのマネージャーです、と社員証を見せるお兄ちゃん。
お兄ちゃんがRe:valeだった時は、小さいライブハウスでコンサートをしていた。
よくコンサート前に差し入れを持って行った事を思い出す。
あの時は、警備員さんはライブハウスの人だけで、妹です!と言うだけで入れてくれた。
顔パスというより、がばがばで千さんの彼女さん?がよく舞台裏に入ってきちゃって大変だった。
舞台裏では、多くのスタッフの方がステージ後も慌ただしく動いていた。
舞台袖の薄暗い通路を進むと、大きい遮音性の扉から明るい廊下に出る。
「あ、岡崎さん!」
「大神さん、里那ちゃん待ってました!」
「お疲れ様です」
こちらを見つけて小走りで来るのは、Re:valeのマネージャーの岡崎さん。
「もう、千くんが里那ちゃんが来るまで動かないって言うこと聞かないんですよ〜!助けて下さい」
『すみません、いつもいつもご迷惑をおかけして』
「いえ、こちらこそ、いつもお世話になってます」
『2人のコンサート最高に楽しかったです!』
「本当に良かったです!来て下さって有り難うございます。千くんも百くんもとっても嬉しそうでしたよ」
楽屋向こうです、と岡崎さんが案内してくれた。
楽屋の扉の横には、Re:vale様の貼り紙。
なんか、二人に会うだけなのに緊張する。
アイドルの二人を生で見ちゃった後だから、いつも通りの私で話せるのかちょっぴり不安だ。