I'll always be with you【アイナナ千】
第11章 譲れない想い
「里那の料理は本当に上手だね」
『ん、ありがと。お口に合うなら良かった』
「僕の奥さんになってよ」
『ちょっ、この前から電話でもあったけど、こまめに告白を挟むのやめてよ』
料理を褒められるのは、やっぱり一人の女の子として嬉しいものだ。
素直に喜んでいた時に、急に攻めてくるのはやめてほしい。
食べたものが一瞬気管に入りそうになったよ。
「侮るなと言っただろう。早く君が素直になればいい」
『この前から気になってたんだけど、何で私が千さんのことを好いている前提で話すの?』
「違うのか?今まで沢山の女性が近付いてきたけど、全員すぐに離れて行った」
『それは、千さんがその沢山の女性を相手にせず、振ってるからでしょ?』
「向こうもその程度の気持ちだったんだ。ずっと側に居たのは里那だけだ。生半可な気持ちじゃ僕のそばには居られないだろう」
『...』
自意識過剰だ!と言いたいけど、実際違わないから言い返せない。
「君は僕が好きなはずだ。なぜ断る」
『千さんに聞きたいことがまだある!千さんはずっと私の事をそういう意味で好きではなかったでしょ?』
「まあ、そうね」
『私の気持ちは面倒じゃなかったの?』
「面倒に感じたことは一度もないね。嫌われてたとしても、僕は君と万を離れ離れにしてしまったから...君に何かあったら手を差し伸べてるよ」
『そう...』
「里那、僕の質問にも答えろ」
千さんはやっぱりずっと申し訳なく思っているんだ。
千さん自身も全てを失ったと言っていたぐらい、傷ついたのに。
あの事件は千さんのせいじゃないのに。
寧ろ私は、千さんに感謝している。
千さんと居たから、素敵な気持ちに出会えて、大切な想い出をたくさん貰った。
だからこそ、私が返せるものは約束を守ること。
隠し事しないで、想いを伝えるから。
千さんも私との関係を守ってよ。