I'll always be with you【アイナナ千】
第8章 私なりの愛
いよいよだ。
私の推測が合っていれば、話したいことは...。
緊張でどくどくと心臓が鳴る音がやけに体に響く。
ちゃんと千さんの言葉を聞きたい。
「僕は、里那に惚れてるみたい」
『...』
「僕の彼女になって」
思わず泣きそうになって、急いで目を伏せる。
10年ぐらいだろうか、そっと片想いをし続けていた相手からの待ち続けた言葉なのだ。
心のキャパシティは一杯一杯で...でも今、私に好きを伝えてくれる千さんの姿をちゃんと見て覚えておきたい。
感情が大きく揺さぶられる中で、泣くのを我慢して千さんを見つめる。
千さんの顔はとても嬉しそうに微笑んでいた。
口下手な千さんが、私に精一杯に伝えてくれたんだ。
だから、私もちゃんと返事しないとね。
千さんが期待してる言葉とは、違うものを。
『ありがとう、でもごめんね』
「へえ、僕を振るのか」
千さんは微笑みから一変、疑いの目を私に向ける。
『イケメンな千さんを振るなんてバチが当たりそうだね』
「そうね...里那僕を見て」
顔に手を添えられると顔をゆっくり持ち上げられる。
至近距離で見つめ合えば、私の目が涙を堪えているのがばれてしまいそうで...
私の考えてることが分かってしまいそうで怖い。
「君は僕のことが好きなはずだ」
その距離のまま、千さんはハッキリとした声で言った。
落ち着け、私。
ここで千さんに負けちゃだめだ。
私は心の中で深い深呼吸をする。
『千さん、そうだよ。私、千さんのこと好きだった!』
千さんの手が離れる。
面白くないというかのように離れていく。
「今、わざと過去形のところを強調したな。この後、今は好きじゃないとか言い出すんだろう」
『待って!千さん、私の話も聞いてよ』
「なに?」
冷たい声色。
やっぱり私の考えてることなんて、見透かされてるのかもしれない。
けれど、私は嘘をつき続ける。