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I'll always be with you【アイナナ千】

第8章 私なりの愛




千さんとの約束の日。

仕事が忙しいのに、何とか時間を作ってくれるそう。
【今、仕事が終わった。待ってて】と連絡があったのは、もう深夜に近い時間だった。



ガチャ...

玄関から音がして、急いで立ち上がる。

「お邪魔するよ」
『千さんお疲れ様』
「ああ、流石の僕も疲れたよ」
『時間作ってくれてありがとね、どうぞあがって』


仕事帰りにそのまま駆けつけたのだろう、メイクも落とさずに来たみたいだ。
メイクをしている千さんはかっこよすぎて、普段よりも近づき難いような雰囲気がある。
それに、私が千さんの家に行くことのほうが多いから、千さんが私の家にいるのも少し落ち着かない感じがする。


「ふふっ、緊張してるのか?」

千さんがソファに腰掛けて言う。


私の家のソファは、千さんの家にある大きいものとサイズが違う。
一般的な二人掛けのやつだ。
隣に座るとそれなりに近いが、普段は気にせず隣に座っている。
今日は千さんの雰囲気に加えて、話し合う日だと分かっているから、隣に座るのがなんか躊躇われてカーペットの上に座った。


「床に座ってないで、隣においで」
『はあ、私の家なのに...なんか変な感じ』


千さんに言われると断れないのが私の弱いところで、隣にゆっくりと腰掛ける。
千さんとの距離が近くなり、ふわっと香る千さんの香水の匂いが、さらに私を緊張させた。


「おかしいな、君のほうが怒っていると思っていたのに。取って食べたりしないからそんなに怯えないでよ」


千さんはちょっとふざけたように言ってから、私と目を合わせた。
吸い込まれそうな色素の薄い瞳に見つめられると、目を逸らしたいのに逸らせなくなる。


「この前は言い過ぎたね。僕が悪かった、ごめんね」
『いいよ。友達のことを決めつけるような言い方をしたのは反省してほしいけど、私自身はそんなに怒ってないから』
「ありがと。今度、可愛い後輩にも謝っておくよ」
『うん』
「今日は謝りに来たのと、もう一つ話したい事があって来た」
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