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I'll always be with you【アイナナ千】

第8章 私なりの愛




『初めて千さんと会った時は中学生だったでしょ?学生の頃の私は、不思議なオーラを持ったお兄ちゃんの友達に憧れてた。ステージで輝いて、音楽に必死に向き合う姿に恋におちたよ』
「そうだったんだ。それで?」


幼い私なりに危険信号は分かってた。
この人に恋しても痛い想いしかしないぞって。
でも、好きにならずにいられなかった。


『でも、仲良くなりすぎちゃったからかな?お兄ちゃんがいなくなって、千さんがお兄ちゃんになってくれるって言ってくれたからかな...今は憧れを超えて、家族愛になっちゃったよ』


千さんは膝の上に置いてあった私の手を取って、私の顔を覗き込む。
ステージで見る、スイッチの入った千さんだ。
私が千さんに弱いことを知りながらやっているんだろうけど...私も折れないよ。
これだけは私の譲れないもの。

アイドル顔をやめてほしくて、何も言わずに首を振ると、いつもの千さんの顔に戻る。



「ブラフを言うようになったのか」
『ブラフじゃないよ、私は素直な妹だよ』
「笑えない冗談だ」
『千さんからの気持ちは受け止めたよ。嬉しいよ?あの頃の私の初恋が時間を超えて報われた。でも、今の私は、千さんと恋人になるつもりはないの』
「まあ、いいよ。気づくのに時間がかかっちゃったから、君にも時間をかけて頷かせてあげる」
『分かった...千さんが飽きるのが先だと思うけど』
「そう?」



千さんは余裕そうに微笑む。
それはステージ上で見る顔より妖艶だった。

自分の表情が崩れそうになるのを必死に堪える。


これが私なりの千さんとの喧嘩。



『明日も仕事早いんでしょ?』
「朝は苦手なんだけどね」
『今日は早めに帰ってゆっくり休んだ方がいいんじゃない?』
「そうね。里那も早くおやすみ」
『またね。忙しいと思うけど体調には気をつけて』


千さんはやはり忙しいようで、食い下がることなく早めに帰って行った。



私は先ほど言われた言葉を丁寧に思い返す。

涙が溢れた。

数年前の学生時代の私だったら二つ返事で、私も好きです!と答えてただろうな。

ごめんね、昔の私。
報われたのに、こんな形にしちゃって。


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