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I'll always be with you【アイナナ千】

第4章 忘年会




千さんに腕を取られ、引っ張り上げられ、よろけつつ立ち上がる。


『ちょっ、千さん?』
「荷物持って」
『ええっ』
「きて」


よくわからないけど、千さんの様子は明らかにいつもと違う。

壮五くんが豆鉄砲くらったみたいな顔していて、周りもザワザワしている。
千さんが足早に部屋から出ていくので、壮五くんにごめん、とだけ伝え慌ててついていく。





『ちょっと、待ってよ!早いって』

すたすたと歩いていく千さんは、私の歩幅だと小走り状態だ。
千さんは止まらなかったけど、少し歩く速度を緩めてくれた。


『千さんどこにいくの?』
「帰ろう」
『え、みんなのことはいいの?』
「各々解散でいいんじゃない」


千さんはそのまま駐車場へと向かった。
私の車を見つけるとまっすぐ歩いていく。


『千さん、車は?』
「今日は、おかりんの車にモモと乗ってきた」
『本当に帰るの?』
「うん。里那も」
『はあ...分かったよ』


こうなった千さんはテコでも動かない。
諦めて、車のキーを取り出した。

『どうぞ、乗って』
「ありがと」

千さんが助手席に乗る。
急いで出てきてしまったため、忘れ物がないかだけ確認してエンジンをかけた。


「僕の家?君の家?」
『え?千さんの家に送るよ』
「里那も僕の家に帰るんだよ」
『はい?』
「いいじゃない」
『え、千さん、、もしかして、酔ってるの?』


千さんが意思を曲げずにわがままな事はあるのだが、ここまで無茶な押し付け方はしない。
おそらく、お酒の力のせいだろう...


「そうかも」
『初めてだよ。千さんが酔ってるところ初めて見た』
「はは、里那がいつも先に寝ちゃうからでしょ」
『そうだね、今日は貴重な日だ』
「家に着いたら、二人で飲み直そう」
『ええ、すでに千さん結構飲んでるんでしょ?大丈夫?』
「どうだろう?まあ、今日は僕の方が飲んでるんだから、君が先に寝ないでよ」


千さんの見た目や呂律などはいつもと変わらず普通だ。
ただ気分が良くなって、我儘暴君になるみたいだ。
これは厄介だ...


ヴヴ...

私のスマホが鳴りはじめる。、


『千さん、私のスマホとって、電話スピーカーにしてくれる?』
「ん、」
『ありがとう』
「モモだ」


百くんからの着信だった。

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