I'll always be with you【アイナナ千】
第23章 初めての夜 ※
『怖いとか全く考えた事なかった』
「そう。僕は里那を大切にしたい。君に怖い思いはさせたくない」
『ありがとう...でも、千さんと触れ合うのに、怖いなんてこと絶対ないと思うよ?』
「分かった」
千さんは上体を起こして、私の上に覆い被さる。
この体勢で向き合うのは、初めてで思わずごくりと生唾を飲む。
「里那がしたいなら、僕はいつだってしたい」
『ん、うん』
「どれだけ我慢したと思ってる。もう、いいだろう?」
『いいよ。千さんと恋人としてもっと触れ合いたい』
千さんは、テーブル脇にあるリモコンを手に取り電気を消した。
今からするという合図かのように。
暗い部屋の中で見えた、愛しそうに私を見つめる千さんの顔を忘れることはないと思う。
千さんは私の頬に手を添えて、まだ暗闇に慣れない視界で私の唇にそっとキスをした。
徐々に角度を変えて、深く長くなっていく。
ああ、この感覚。
呼吸が浅くなると一緒に千さんのキスの感覚だけに夢中になっていく。
「ん、いい顔。舌だして」
そんなこと言われたのは初めてで、おそるおそる舌を出す。
「いい子」
ゆっくり千さんが自分の舌を絡めとり、私の口の中に入ってくるのが分かる。
上の歯列をゆっくりなぞってから、また私の舌を悪戯に弄ぶ。
頭がぼーっとする。
これが、きっと、きもちいいってやつ。
『っん、、、っは、』
呼吸が苦しくなってきて、千さんの胸を軽く押すと、名残惜しそうにやらしいリップ音をたてて離れていく。
『はあ...はぁ...』
「里那のとろけるような顔、そそるね」
私は千さんのえっちなキスだけで息があがってるのに、千さんはとても余裕そうだ。
頬に、ちゅっ、と音を立ててキスをする。
「途中で怖くなったら教えて。止まれないかもしれないけど」
とても優しい声だった。
千さんなりに大切にしてくれてるのが分かる。
千さんは唇だけじゃなくて、おでこや耳、首、普段しないところに口付けていく。
『んっ、ねぇ、ちょっとくすぐったい』
「そう、これは?」
『ぅあ!』
急に左耳に息がかかり、思わず体がびくっと動く。
「可愛い」
『や、びっくりしたって!』
「ふふっ、ごめんね、ついね」
『もう』
「里那、触るよ?」
私はゆっくり頷いた。