I'll always be with you【アイナナ千】
第23章 初めての夜 ※
千さんがその気じゃないなら、私からいくしかない。
明日は、仕事が午後からだと聞いている。
今日はゆっくり泊まれる日。
「里那?」
『んわあっ!』
「話聞いてた?考え事?」
千さんの顔が至近距離にあって、思わず身体を引いた。
不味い。
全く千さんの話が耳に入ってなかった。
『千さん、ごめんね』
「はあ、最近考え込んでる時あるけど、今日はずっと挙動不審だよね。なに?」
『ごめん、ちょっと、考えごとがあって』
「だから、何を考えてたの?」
今、この状況で話す?
いや、恥ずかしすぎるし、逆にそういう雰囲気から遠のきそうだし。
でも、嘘はつきたくないし...
『い、言えない...今は』
「は?」
『言えないの』
「言ってごらん。僕が優しいうちに」
『...ね、寝る前に話すから』
「分かった。今日は早いけどもう寝よう」
千さんは私を無理やり抱きかかえて、隣の寝室へと歩いていく。
『え、ちょっ!今日はゆっくり映画でも見ようって話してたじゃん』
「里那が強情だから、予定変更だ」
私はベットの上におろされ、千さんも隣に寝ころぶ。
「もう寝よう。話せ」
『強引すぎ!』
「頑固なのは君だろ」
『落ち着いて話したかったのに!』
「そう、それで?」
千さんは話すまで、逃さないという姿勢だ。
『千さん...たぶん、面倒なこと言うよ?』
観念して、話を切り出す。
「うん」
『私のこと好き?』
「好きだよ?君が思ってるよりもね」
『私、欲張りになってるかもしれない。ごめんね』
「何が欲しいの?」
『千さん』
千さんに、よく分からないという顔をされる。
『あのね...そろそろなのかなって、思って』
「そろそろね...へえ、そういう事」
『千さんにとって、私は女として魅力がないのかな?それとも重い?』
「はあ、君は分かってないな」
千さんは上体を半分起こし、私の頭を優しく撫でた。
「里那はどんなことをするのか本当に分かっているのか?怖くはない?」
勿論成人もしているし、知識としてどんな事をするのかは知っている。
初めては、凄い痛いらしいというのも聞いたことがある。
そっか...千さんは私の心の準備を心配してくれてたのか。