第6章 出発の日
「さ、行こうか」
翌朝。ドズルの大きくもないがよく聞こえる声が聞こえ、ネコおじは目を覚ました。
「起きたか〜? ネコおじ」
MENの言葉に返事のつもりでニャアと鳴くと、ドラゴン討伐は危険だからネコおじは置いていこうと話しているドズルの声が聞こえてドキリとした。僕も連れてって欲しいとドズルの肩に飛び乗れば、くすぐったいよと笑ってネコおじを腕に抱く。
「もしかして、ネコおじも行きたいんやない?」
猫や動物の気持ちにいち早く気づいてくれるおらふくんがドズルとネコおじを交互に見た。その後ろでぼんがまさか〜とボヤいているが、本当にその通りだという意思を示したくてネコおじは必死に鳴く。
「ネコおじのことは、自分たちが守れば大丈夫ですよ」
とネコおじに助け舟を渡してくれたのはおんりーだった。おんりーは一番愛が奪われていた経歴があるので表情からではこちらの気持ちが通じたのか分からないが、ネコおじに向かってわずかに微笑を浮かべた気がした。
「まぁ、一緒にここまで旅してきたものね」
さらにおんりーに賛同したのは、意外にもぼんだった。ぼんはネコおじの頬をそっと撫でる。ネコおじはそんなぼんが好きだった。その長い指に顔こすりつけると、懐いているなんて珍しいとメンバーに言われ、ぼんはふにゃりと笑った。
「ネコおじも行こうか」
ドズルもそう決断をしてくれて、皆一様に頷いてくれた。ネコおじは嬉しくて鳴き声で返事をしようとしたが、ぼんの指がヒゲにぶつかって思わず噛みついてしまった。いってぇ。やっぱ懐いていないわ、なんてぼんがボヤいて手を引っ込めると、四人はケラケラと笑った。