第3章 宿屋へ
「ネコおじも、ぼんさんがサーカスで活躍するの見たいんよな〜?」
おらふくんが近づいてきてネコおじに目線を合わせた。ネコおじが賛同の意味を込めてニャアと鳴けば、かわええなと頭を撫でてくれるから嬉しい。
「ぼんさん、本当に行かないんです?」
おんりーの言葉に、うーんと唸るぼん。本当はぼんだって知っているはずだ。ぼんだってこの愛のない世界のままではいけないことを。
「今日行ったらかわいい女の子に会えるかもしれませんよ」と言ったのはMENだ。「砂漠の住民って、暑いから肌の露出も高いじゃないですか。きっとかわいい子も……」
「行く行く! 行きますって!」
急にぼんが起き上がるから、ネコおじはバランスを崩しそうになって慌てて立ち上がる。
巧妙に人を動かすのが上手い(特にぼんに対して)MENは意味深そうに口角を上げて、じゃあ行きますよとドズルへ視線を投げた。
「ぼんさん、僕たちは世界に「愛」を届けるためにサーカスを開いているんですよ?」
ドズルが念を押すようにぼんに言った。
「分かってるって。世界のため、でしょ?」
ぼんは嘘っぽい言葉で、へらりと笑った。