第4章 サーカス
賑やかな大通りにバラ撒かれたのは、独特なタッチで描かれたおらふくんのイラストがあるサーカスのチラシ。
サーカスには、世界が忘れてしまった愛を取り戻すために様々な芸をして楽しんでもらうための仕掛けと五人の役者がいる。その五人というのが、このドズル一行のことであった。
猫であるネコおじには、彼らが行っている娯楽というものはよく分かっていなかったが、五人は常に「楽しむ」ことをモットーに舞台に立っていた。この娯楽を見て笑ったりドキドキしたり、悲しくなったり怒りたくなったりするのも全て「愛」から始まるものなのだと、五人はそれぞれそう口にした。
戦いごっこや早抜け選手権などという競技をしているみたいなのだが、特に「絆」を示す競技はいつもどこでも大いに人気であった。それは、五人の得意を活かした娯楽で、その度に誰が推しだのとか盛り上がり、サーカステント中に「愛」というものが見えるのではないかとネコおじは目を凝らして探し回ってみたこともあった。愛というものは、見ることが出来ないらしい。
それでもネコおじは、彼らの行う娯楽や振り撒く愛を好ましく思っていた。舞台を遠巻きで眺めるネコおじは、人々がする拍手の代わりに、ニャアと鳴いた。