第3章 宿屋へ
一行は早速、街にある宿屋を探して宿泊場所を決める。
五人と猫がオッケーの宿屋を探すのはなかなか苦労して。ドズルがなんとか交渉して泊まることとなった宿屋は、街の外れにあるような古くて大きな建物だった。
壁は粘土を固めたような材質で出来ている宿屋だった。ネコおじが建材に詳しいのは、大荷物を下ろし始めたMENからよく色々と教わるからだ。MENはすごい建築士で、彼らの仕事部屋であるサーカステントも、彼がデザインしたのだという。
「今日は何時にします?」
窓から外を気にしながら、言葉短く皆に訊ねたのはおんりー。きっと、追っ手を気にしているんだろうなとネコおじはベットの上で伸びをした。
「今日ももちろん、十八時十五分で!」
ドズルは快活に答え、筋肉質な腕を自分の胸の前で曲げて拳を作った。その回答に三人は分かりましたと頷いたが、一人は文句言いたそうにベットでダラけた。
「え〜、今日は休もうよ〜」
ぼんだった。
ぼんはネコおじの隣で寝っ転がり、猫じゃらしを弄んだ。ネコおじはその猫じゃらしを追いかけるフリをしながらぼんの顔にパンチをお見舞いすれば、なんでよと喚き始めた。
「な〜んで俺には懐かないのかなぁ」
「ネコおじもサーカスに行けと言ってるんですよ」
ぼんの言葉に、鋭いドズルがそう返した。この男、猫語は分からないはずなのに、なぜか本当にネコおじの言いたいことを読んでくるのだ。