第18章 「愛」のための戦いを
ガンッ!
鋭い音がした。
ネコおじは、思わず閉じてしまっていた瞼を恐る恐る上げ、目の前に立つ小柄な男性の姿を見た。
「おんりー!」
みんなが一斉に叫んだ。
おらふくんを殴ろうとしていた看守長の拳を、おんりーとその手に握られた二本の短剣が受け止めていたのだ。
おんりーは常に、靴の内側ポケットに二本の短剣を隠し持っている、いわばドズル一行の護衛隊的存在だった。このような緊急事態の時の対応が誰よりも早かった。
「生意気な……!」
しかし看守長は、怒りを鎮めるどころか顔に青筋を立てる勢いでもう片方の拳を握った。今度はおんりーを殴るらしい。
逃げて! ネコおじはシャーッと声を上げた……。
「卑怯はこういう時に使わなきゃね?」
「何っ……?!」
いつの間にか看守長の後ろに回り込んでいたのは、ぼんだった。
ぼんがいつもだらしなく背負っているだけのような上着がまるでロープのようにしなって看守長の手首をぐるぐると巻きついてもう片方の拳を引き止めていた。ぼんは大して力を入れていないように見えるのに、大柄の看守長はそこから微塵も動かない。
そのがらりと空いた看守長の懐に、すかさずドズルが入り込んだ。
「正拳突き!」
「うっ……?!」
ドズルの筋肉は見た目だけじゃない。看守長の鳩尾をドズルの拳が見事命中した。看守長はよろめき、後ずさる。ぼんはさっさと上着を手放してどこかに逃げ、その間におんりーはおらふくんを連れて後ろへ退かせた。
「まだだ……まだ……!」
それでもなお看守長は悪態をつくので、じゃあこれが見えます? とMENがここぞとばかりに前に出た。
「まだ抵抗するって言うなら、これ、爆発させますけど?」
見なくても分かった。MENの兵器、TNTのことだろう。
看守長はそれを見てこの状況をようやく理解したらしい。看守長は項垂れ、痛みに呻きながら言葉を吐いた。