第16章 図書室へ
ネコおじとおんりーはしばらく通気口を這って進んでいた。
おんりーはたまたまこの通気口を発見し、シャワーを浴びている最中だった看守のポケットから図書室への鍵を盗ってきたのだという。ついでにシャワーの一部を壊して混乱している隙を縫って図書室を探索していたところ、監視室が向かい側にあることに気がついたのだという。
「……ここだ」
おんりーが呟く。そして器用に通気口の蓋を外すと、手慣れた様子でするりと図書室へ下りて行った。
「ネコおじ、おいで」
とおんりーに言われ、ネコおじは図書室の棚へと飛び移ってからおんりーの両腕に飛び込んだ。
それからおんりーは本棚の裏に隠れつつ、誰もいないことを確認してドアノブに手を掛ける。鍵は……開いていた。
なるほど。図書室の扉は内側には鍵穴も鍵もなかった。外側からしか開けられなかったようだ。
おんりーは慎重に扉を開けると、なんとそこにも看守は誰一人いなかった。爆発の騒動で牢獄中パニックなのかもしれない。
「セキュリティどうなってんの……?」
とおんりーが呟きながら監視室に忍び込んだ。監視室は不思議なことに、一見壁のように見えるだけなのだが、おんりーが何もないところに手を差し伸ばすと、ガコンと大きな音を立てて壁が持ち上がった。監視室は、隠された壁の中にあったらしい。
おんりーだけがこの隠し扉に気づいていたのか。
監視室の中はずらりとカメラが並んでいて、機械とコードだらけだった。おんりーはそのカメラの電源をオフにしようとして、一旦手を止めた。おんりーはある監視カメラを見つめている。なんだろうとネコおじもカメラを覗き込むと、そこには大量の看守たちに囲まれたドズルたちの姿があったのだ。
「……大変だ」
おんりーはカメラの電源を落とし、急いでどこかへと走り出した……。