第15章 乗じて
「なんだろう、さっきの爆発音は……」
驚くことに、よく聞いた声がしてネコおじは駆け出した。それからミャアと鳴いてみると、誰かが蓋を開けてネコおじを排水口から引きずり出してくれた。
「ネコおじ……?」
不思議そうにネコおじをみつめるのは、間違いなくおんりーだった。どうやらネコおじは、排水口を辿っておんりーの牢屋の中に再び侵入したらしかった。
「ニャア」
返事のつもりでネコおじがそう鳴けば、おんりーの顔がわずかに綻ぶ。これも「愛」の表情らしい。ネコおじがもう一度鳴くと、自分の服で体を拭いてくれた。
「さっきの爆発でドズルさんたちとはぐれたのかな……?」とおんりーはネコおじに話し掛けるように呟いた。「それとも、爆発を起こしたのは……MENとか?」
「ミャ」
ご名答。洞察力の高いおんりーは見てもいない爆発の原因さえズバリと言い当ててしまう。ドズル一行のスピードスターは、推理力も早い。
「まぁ、ネコおじに聞いても分からないか……」
ネコおじはそうだよと答えたいのだが、おんりーにはそこまで気づいてはもらえず。おんりーは仕切りに天井を睨みつけていた。
「うーん、ドズルさんに渡した鍵で図書室の部屋開けたかな……」
鍵……?
ネコおじは考え、そういえばドズルにキラキラした鍵を渡したことを思い出した。あれは図書室の鍵だったみたいだ。
「……ネコおじ、行ってみようか」
何をするのか分からないが、おんりーがそう言ったのでネコおじは鳴いて返事をする。
するとおんりーは近くにあった机を引っ張り出して素早く上に乗り込むと、天井にある通気口の蓋を開けた。そこにまずはネコおじを抱えて通気口の中で下ろし、次におんりーが軽々と登って入って来た。
「図書室の隣が監視室なんよ。カメラの機能をオフにしたら脱出しやすくなるはず」
なるほど。おんりーはすでに、自分がどう動いて脱獄したらいいか分かっていたみたいだ。