第14章 老人と騒動
どうやったのか、老人は自らの牢屋の鍵を開け、入れと五人を誘っている。
どういうことか分からないが考えている暇はないと、ドズルが走り出したのをきっかけに全員がその老人の牢屋へ飛び込むと、老人は急いで内側から鍵を掛けて看守が入ってくるのを待った。
看守は何重にもなった鍵を開けて部屋に入って来た。ドズルたちが潜入した扉の戸締りは滞りなくしていたのである。看守たちは規則正しく足を揃えるなり、声を張り上げた。
「これから木工作業の時間だ。全員外に出たらいつも通り並べ」
抑揚のない言葉。ネコおじは散々聞いてきた「愛」のない人間の声であることを聞き分けていた。
それから何人かの看守たちがそれぞれの牢屋の鍵を開け始めた。やはり、ドズルたちのいる牢屋だけ六人いるので怪しまれたが、そこにいる老人が、部屋がないからとワシの牢屋に入れたのはお前たちだろうと大声でひつこく言う内に看守も相手が面倒になったのか、分かったからとドズルたちも牢屋の外で並べさせられた。
しかし、最奥のガラスのオリにいるおんりーは閉じ込められたままだった。それほど、危険視している人物ということなのだろうか。
「これから何やるんやろ……?」
「私語は禁止!」
声をひそめていたのに看守にたしなめられたおらふくんは、ネコおじのことがバレないようにぐっとマフラーを握りしめた。後ろでMENが背中を支えたような感じがしたことから、おらふくんはふらついたみたいだった。