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愛が禁じられた世界で[dzl]

第13章 再会


「僕たちの声が聞こえていないみたいだ……」
「まぁまぁ、とりあえず合流出来たし一先ずよかったじゃん、一先ずね?」
 落ち込むドズルを励ますようにぼんは言った。そうだけど、とドズルが何か言おうとした時、おらふくんの明るい声が差し込んだ。
「あ、おんりーが何か言ってるみたいですよ!」
 とおらふくんが言う通り、ガラスの向こうのおんりーは何か喋りながらキラキラ光るものを取り出した。
 あれはなんだろう? ネコおじはよく見ようと前のめりになると、意外にもするりとおらふくんの腕から体が抜け出せてそのままそこにあった台に乗る。
「あ、ネコおじ……!」
 呼び止める声も無視して隙間に顔を突っ込むとすんなりおんりーのいる場所に侵入することが出来た。
「よかった。食事の搬入口の大きさなら、ネコおじは通れると思ったんだよね」
 よく親しんだおんりーの声を間近で聞きながらキラキラしたものにパンチをしたネコおじ。おんりーはそのキラキラしたものをすぐに手放した。
「ネコおじ、ドズルさんのところに持って行って」
 おんりーがネコおじに囁くように言った。ネコおじはまだこのキラキラで遊びたかったのだが、聞き分けも出来る猫であった。ネコおじはキラキラを咥えたままにゃあと返事をした。
 それから、ネコおじは来た道を戻って行くと、ドズルのよくやった! と嬉しそうな声が聞こえて思わず尻尾が揺れた。ぼんもなかやかやるじゃないと褒めてくれたし、おらふくんはいっぱい頭を撫でてくれた。MENは遠巻きながらさすがですと呟いていたのをネコおじは聞き逃さなかった。
「でもこの鍵、なんだろう?」
 ドズルがキラキラしたもの……どうやら何かの鍵らしいものを手で弄んで眺めた。もう少し遊びたいんだけど、とネコおじが前足を出せば、間もなくおらふくんに捕まってしまう。
「お前ら、全員並ぶぞ!」
 直後、部屋中に声が響き渡った。部屋にあるスピーカーから聞こえたみたいだ。
 皆全員びっくりし、ネコおじは飛び上がっておらふくんのマフラーの中に隠れた。
 すぐには看守が入ってくるのだろう。どうしようと思った時、牢屋から一つの声が飛んだ。
「お前たち、とりあえず中に入ってろ!」
 ヒゲの長い老人の声だった──
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