第12章 次なる作戦を
「まず、おんりーがどこにいるのか探さなきゃね」
重大な決定をする時、仲間は決まって、ドズルに次の判断を委ねていた。ドズルはこう見えて頭が切れる方であり、皆をまとめる力があるからだ。
「俺のツルハシ使えばいいんでしょうけど、大事になりますよねぇ」
とMENは背中のツルハシを使いたそうに柄を撫でながらそう言った。それはやめとけ、とぼんがMENを引き止める。
「それを使うのは、おんりーチャンを助けたあとからだ」
とぼんが言う。ぼんもきっと、一見穏やかそうな顔をしているが、仲間を連れ去って閉じ込めたこの建物に相当恨みを持っているんだろうな、とネコおじは思った。
「おんりー、どこにいるんやろ?」
と首を傾げたおらふくんに、普通なら牢屋の中だろうけど、とドズルは言葉を続ける。
「おんりーのことだから、自分で脱出しようとしているかもしれない。行き違いになったら大変だ」
そうかもしれない。ネコおじも人間と同じように頷きたくて瞬きをする。ここは僕が率先して探しに行くよとも言いたいのだが、おらふくんの腕に捕まっている以上、どちらも伝えるのは難しかった。
「おい、シャワー室が壊れて水漏れしているぞ」
なんとも抑揚のない声が扉の向こうから聞こえた。見てきます、という返事も聞こえ、パタパタと走る足音が複数響く。皆の目は一斉に扉の方へ向けられた。
「……もしかして、おんりーじゃないっすかね」
MENの言葉に、ドズルは深く頷いた。
「きっとそうだね。今なら出ても手薄かも」
四人はそれぞれ首を縦に振り、ゆっくりと扉を開けた。