第1章 過去、そして出逢いへ
後日、義爛に連れて来られたのは古びたビルの中にひっそりと佇むBARだった。
『…義爛おじさま、此処がそうなの?』
BARの扉の前で横にいる義爛を見上げて尋ねる。
「あぁ…そうだ。まぁ話は入ってからだ」
ギイィーーーッ……とBARの扉を引くとカランッカランッと小気味良い音が鳴った。
義爛に続いて中に入ると中の人物たちの光景にハッ…と息をのむ。
そこにいたのはBARカウンターの席に座りこちらを見るが顔が手で覆われている青年。
そしてそのBARカウンターの中に入ってグラスを磨いている、顔と手が黒い霧で覆われているウェイターさん。
BARの中にあるソファーにちょこんっと座っている両サイドにお団子結びをしてセーラー服を着た女子高生。
そのソファの後ろの壁に背を預けて腕を組み、こちらを見ている顔や身体の所々が火傷のように皮膚が爛れてそこを金属で繋ぎ止めている青年。
セーラー服の女子高生が座っているソファーの足元で胡座をかいて座っている全身黒タイツの人。
その隣で同じように座っている、今巷で噂になっていたヒーロー殺しのような格好をしたトカゲの人。
そして……
腕を組みながら別の壁に背を預け、シルクハットに素顔が見えないように仮面を付け、スラッと背が高そうな彼に似合う山吹色のロングコートを着てこちらを見て立っているエンターテイナーの彼がいた。