第1章 過去、そして出逢いへ
義爛と出会って数十年が経ち…。
『義爛おじさま!おかえりなさい〜!』
出会った頃よりもすらっと背が伸び、栗色のふわふわの髪もあの頃よりも随分と伸び、顔立ちも随分と大人っぽくなったがいた。
もう少女と呼ぶには失礼に当たるほど大人になったが、変わらずまつ毛の長いまん丸の大きな瞳が彼女の雰囲気を可愛らしくしていた。
そしてもう一つわかった事は、の治癒個性は他人の小さな怪我から大きな怪我まで治せる。
しかし、その怪我の大きさや具合、個性を使い過ぎるとの体力が奪われて個性の力が弱まってしまう。
「ただいま。しばらく帰れなくて悪かったな。
変わりはないか?」
『うん!いつも通りだったよ。
義爛おじさま最近、お仕事忙しそうだね』
数日ぶりに帰宅した義爛にかけ寄りながら問いかける。
義爛と一緒に暮らすようになり、彼がどんな仕事をしているかも薄らと気付き、理解してきた。
彼がいなければ今頃自分はどうなっていたかもわからなかったは義爛を命の恩人だと思っている。
そんな義爛の仕事に理解を示し、特に嫌悪に思う事もなく過ごしてきた。
「あぁ…今、大きな案件が動いていてな。
人材集めに走り回ってるんだ。
、お前にも紹介したい奴らが居るんだ。
近々、会わせる事となると思う。
お前の個性がきっと役立つと思う。
きっと奴らもお前が必要で、
お前も奴らが必要な存在になるかと思う」
『大きな案件?……奴ら?』
義爛の言葉に他人事のようにコテン…と小首を傾げるだった。