第3章 日常、それぞれの想い(♡)
『…お待たせしました、荼毘さん。』
「いや、ほら…こっちに来い。」
リビングのソファーの背もたれに片腕を回してくつろぎながら缶ビールを飲んでいる荼毘さんに声を掛けると、近くのコンセントにドライヤーのプラグを入れて、ソファーに座る荼毘さんの脚の間にちょこんと三角座りをする。
するとドライヤーを手に取り、スイッチを入れるとブオォォォーーー……と風を吹かせて髪を乾かしはじめてくれる荼毘さん。
髪を乾かす荼毘さんの手付きが思いの外、丁寧に長い髪が絡まらないように優しく梳かすように撫でてくれるので、その感覚がだんだんと心地良くなってきて自然と瞼が下りてくる。
「…おい、。終わったぞ。
ほら…起きろ、。」
優しく肩を揺すられて心地よい低音な声が聞こえてくると、夢の世界へ片足突っ込んでた意識を取り戻し、薄っすらと瞳を持ち上げると綺麗な蒼い瞳がこちらを見つめていた。
『ぁれ…私。荼毘さん…っ?』
「何だ寝ぼけてるのか?ほら、髪乾いたぞ。」
『ぁ…そうだ、私…乾かしてもらってたんだ…。
ありがとうございました、荼毘さん。』
「いや、またいつでも乾かしてやる。」
そう言いながら、私の髪にクルクル指を絡ませて触る荼毘さん。
「お前の髪、サラサラで綺麗だな。
…触り心地が俺好みだ。」
『…ふふ。良かったです。
私も荼毘さんに髪、触られるの好きです…。
気持ちいい…っ。』
荼毘さんの大きな手が何度も髪を梳かすように頭を撫でてくれると、それが心地よくてまた自然と瞳を閉じて、後ろにいる荼毘さんに身を預けてしまう。
どれくらいの間、荼毘さんに髪を撫でられていたのか…。
ふと両脇に腕を差し込まれたかと思うと、ソファーに座る荼毘さんの膝の上に座らされてしまった。
『…だ…っ、荼毘さん…?』
突然の事に驚いて、目をぱちくりさせる。
「…こうすれば、お前の顔が見れる。」
蒼い瞳を細めて見つめる荼毘さんが再び、髪を指に絡めて梳かしはじめる。
いつもなら荼毘さんとのこんな至近距離な近さに恥ずかしくなってしまうところだが、今はお風呂上がりのポカポカした体温に、髪を触る荼毘さんの心地良い手付きに完全に思考が停止して甘えんぼモードに入ってしまっている。
コテン…と荼毘さんに頭を預けて瞳を閉じてしまう。