第3章 日常、それぞれの想い(♡)
『それにしても暑いね〜…。
年々、暑さが増してるような…っ。』
「…だな。世の中どーなってンだ、ったく…っ。」
『…弔くん、汗…大丈夫?』
アジトを出て真夏の日差しが照りつく道を二人で歩く中、信号待ちでふと見上げた弔くんの額から汗が流れているのを見て、出掛ける時に持ってきたポシェットからハンドタオルを取り出すとそっと弔くんの額の汗を拭き取る。
「…ん、サンキュ。
も汗…やべェな。大丈夫か?」
ハンドタオルをポシェットに仕舞っていると、弔くんの細長い綺麗な指が額に張り付く前髪を優しく触れると掻き分けて撫でる。
『わわ…っ。弔くん汗…汚いから…っ。』
「ンな事ねぇ…。お前の汗なら舐めれる。」
『ゃっ…やだぁ。舐めないで…っ。///』
「…なんかエロいな…っ。」
『〜…っ!///弔くんのえっち…っ。』
「はは…お前、ほんと可愛いなぁ。」
ただの冗談に顔を真っ赤に染める私の反応を見て、紅い瞳を細めて楽しそうに笑う弔くんに怒る気すらなくなると眉を下げて私も小さく笑う。
そんなやり取りをしながら、目的のスーパーへと到着すると当たり前のように買い物カゴを取り持ってくれる弔くん。
『カゴ…ありがとう。』
「…ん、いや。買うモン…何だっけなァ…。」
カゴを持ってくれる弔くんにお礼を言えば、気にする素振りもなくおもむろにポケットからスマホを出してメモ機能を開いて買うものを確認している弔くんと一緒にスマホ画面を覗き込む。
『お野菜に調味料…ぁっ、お野菜コーナー入って
すぐのあそこだね。行こ、弔くん!』
弔くんの薬指と小指を握って手を引いてグイグイ突き進むと、待て待て、慌てるな。と言いながらもちゃんと着いてきてくれる。
黒霧さんに頼まれたお野菜をカゴに入れると次は調味料コーナーへと足を運ぶ。
『わぁ〜…調味料一つにしても
こんなに種類があるんだねぇ〜。』
「何でもイイだろ。…安いのにしとけ。」
『うん、ぇっとぉー…あ、あれだ!』
あらかた値段を見比べて一番安い調味料を見つけるも、一番上の高い棚に陳列されていて、それを取ろうと目一杯爪先立ちをして背伸びをしながら腕を伸ばす。