第3章 日常、それぞれの想い(♡)
「弔くんがちゃんとチウチウするから
トガもしたいと言ってるのです!」
「が貧血になるだろ。やめろ。」
「あら、アンタ達…そーいう関係だったの?
アタシはてっきりはMr.と…」
「はぁ?
何でそこでコンプレスが出てくんだよ…っ。」
「あら、違うの?まぁ…恋多き女は罪ね♡」
『マ…マグネさん…話がややこしく…っ。』
「トガは恋する乙女です♡」
「お前はただのガキだ。」
「弔くんに言われたくないのです。」
「ところでアンタ、ここは男子禁制よ。
イチャつくなら自分の部屋で
イチャつきなさいよ!」
「お前はいいのかよ、マグネ。
…っ、はぁ…なんか疲れた。行くぞ」
ガシっと人差し指だけを浮かして手首を掴まれると、まだ後ろでギャーギャー騒いでいるヒミコちゃんとマグネさんを無視して部屋から連れ出される。
『…どこに行くの弔くん…?』
「買い出し。黒霧に頼まれた。」
『黒霧さんが弔くんに頼むなんて
珍しい事もあるんだね?』
「黒霧は別にいいっつってたけど、
俺が買って出ただけだ。」
『そうなんだ…何の買い出しなの?』
「今日の晩飯。材料が足りねェんだと。」
身バレ防止のための黒いパーカーを羽織ってフードを深く被る弔くんに同じようにツバの広い麦わら帽子を深く被らされる私。
「お前はそこまで顔バレしてねェけど念には念だ。
…外も暑いし一応、被っとけ。」
『ありがとう、弔くん。』
「……ん。」
弔くんの気遣いに微笑みながらお礼を言うと少し照れたようにポリポリと指で頬を掻き、薬指と小指を揃えて差し出す弔くん。
『…ぇ…っとぉ……?』
「五指に触れるとお前が崩れてちまうだろ?
…だから、ほら。」
もう一度差し出された薬指と小指と弔くんの言っている意図がわかれば、キュッ…と少し遠慮気味に握る。
「…ん。
はぐれねぇようにしっかり握っとけよ。」
『うん、ありがとう…弔くん。』
弔くんの言葉に微笑みながら頷くと、しっかり弔くんの薬指と小指を握りしめる。
すると満足気に紅い瞳を細めて笑う弔くんにまたドキ…と胸を高鳴らせるのだった。