第3章 日常、それぞれの想い(♡)
「……お前、顔真っ赤だぞ?大丈夫か?」
『あっ、う…うん!大丈夫!
心配してくれてありがとう、スピナーさんっ』
「…なら、いいんだが…。」
不思議そうに小首を傾げるスピナーさんに大丈夫!というように笑顔を向け、去っていくスピナーさんを見送る。
リビングのソファーに座ってこちらを向いている荼毘さんに視線を向けると意地悪な顔をして楽しそうに笑みを浮かべながら私を見ていた。
『…荼毘さんったら…///』
それから私は残りの食器類を洗ってしまう事にした。
「……あれ、…ちゃん?」
死柄木に頼まれていた仕事を終えて、借宿に帰ってくると静まり返っているリビングの中。
ソファーに横たわり、すぅすぅと気持ち良さそうに小さく寝息を立てて眠っているちゃんがいた。
夏の暑さで籠って仕方がない仮面と目出し帽とシルクハットをすばやく取ると圧縮し、首元のループタイを緩めながらパタパタと風を送りながらソファーで眠るちゃんに近づく。
「…こんな所で寝ちまって、無防備だなぁ。」
短い眉を下げて小さく笑いながら、パチンッ!と指を鳴らしてタオルケットを圧縮している翠色のビー玉の個性を解除すれば、タオルケットをちゃんに掛けてやる。
頭をひと撫でしてから栗色のふわふわの長い髪を一房すくって指で遊ばせてみる。
「…さらっさら…綺麗な髪…っ。」
ふわ…っと香るシャンプーの良い香りとちゃんの甘い香りに身体の芯が熱くなってくる。
「…起きねェかなぁ…っ。」
未だスヤスヤと気持ち良さそうに眠っているちゃんの真っ白だけど少し桃色に色付いたふわふわのほっぺをツンツン、と人差し指で突いてみるとくすぐったそうに身を捩りながら微笑むちゃん。
「…可愛いなァ。こんな無防備な寝顔、
誰にも見せたくねェなぁ…っ。」
そう言いながら頭を優しく何度も何度も撫でてやると、ふる…っと長いまつ毛が震えるとゆっくりと大きな瞳が開かれる。