第3章 日常、それぞれの想い(♡)
「…俺もお前の飯が食いてェ。」
ダイニングテーブルの椅子に手足を放り出しながら座り、天を仰いでダルそうにしていた荼毘さんまでもがむく…と頭を上げて言う。
『ぇ、ぇ、あの…あんまり期待はしないでね?
黒霧さんみたいに美味しいものは
作れないから…』
何か大きな期待をされてるみたいでちょっと尻込みしてしまう。
「あ…俺、魚嫌いだから…」
「好き嫌いしてんじゃねェよ、ガキかよ…」
「あ″ぁ?ガキにガキって言われたかねェよ…っ」
「何だとゴラァ…やんのか?あ?」
『ぁ、ま、待って待って…っ。
弔くんも荼毘さんも落ち着いて…』
今にも喧嘩が勃発しそうな険悪な雰囲気の中、睨み合う二人の間に入って弔くんと荼毘さんの腕をグィっと引っ張りながら仲介に入る。
「…はいはい、二人ともそこまで。
ちゃん困らせないの」
私が引っ張ってもお互い睨み合いをやめない弔くんと荼毘さんを見かねて、圧紘さんが間に入ってくれた事でやっと事なきを終えた。
『ありがとうございました…コンプレスさん』
「なぁに、お安い御用よ。」
ぽんぽんと頭を撫でてくれる圧紘さんに小さく微笑みながら礼を言う。
『荼毘さんはお魚がダメだから…
何がいいかなぁ…っ。』
冷蔵庫を開けて中に入っている材料を確認しながら小さく呟く。
「ちゃんのご飯楽しみです!
ね!仁くん!」
「おぅ!!楽しみだぜ!!
全然楽しみじゃないぜ!!」
ヒミコちゃんとトゥワイスさんがワイワイはしゃいでる姿を見てクスッと小さく笑みが溢れる。
「さん、すみません。助かります。」
『いぇ、いつも黒霧さんがやって
くださってますから…。
お手伝いさせてください』
キッチンに立ち、あらかたメニューが決まると申し訳なさそうに言う黒霧さんに微笑み返す。
オムライスを作ろうと豚肉や玉ねぎなどをトントントン…と包丁で切っているとふと、背後に気配を感じると肩と背中に重みを感じて視線だけをそちらに向ける。
「…何作んの?」
『弔くん、包丁持ってる時は離れてないと
危ないよ?』
私の肩に顎を乗せて、腰に腕を回して後ろから抱きしめながら包丁で玉ねぎを切っている手元を覗き込む弔くんに視線だけ向けながら、包丁を動かす手は止めずに優しく言う。