第3章 日常、それぞれの想い(♡)
雄英高等学校ヒーロー科林間合宿襲撃及び神野事件から数日。
あの騒動から有名になった敵連合はヒーローや警察の目がある中、以前よりも行動はしずらくなったもいつもの日常を取り戻しつつあった。
そして一時的な拠点場所として昔、弔くんと弔くんの先生が生活していたというこのマンションの一室を仮のアジトとして置く事となった。
ここもいつヒーローや警察に見つかるかわからないから長居はできないけど、ひとまず仮のアジトが決まりホッと胸を撫で下ろす。
「あっついーー、暑いですぅ〜〜!!
もう溶けちゃいそうですーー……」
「黙れ、イカれやろう。
暑いのくらいわかってんだ、
それ以上言うな、余計暑くなる……」
「暑いな!! 暑くない!!寒いぞ!?」
敵連合の仮宿となったマンションのリビングの一室。
冷房が付いているとは言えど、年々暑くなってきている夏の気温にさすがの敵連合もお手上げ状態。
リビングにあるソファにだらーん…っと横たわっているヒミコちゃんに、ダイニングテーブルの椅子に手足を放り出しながら座り、天を仰いでダルそうに言う荼毘さん。
ヒミコちゃんの周りで暑い!や寒い!と騒いでるトゥワイスさんを見ながらクスッと小さく笑い声を零す。
カウンターキッチンではBARにいた時と変わらない様子で黒霧さんがグラスを磨いており、そのカウンターにはいつの間にか買い揃えられていたお酒やワイン、ウィスキーの瓶がたくさん並んでいた。
BARにいた時から思っていたが、ここにはお酒好きがたくさんいるようだ。
別室で冷房をキンキンにしてスピナーさんとゲームに謹んでいた弔くんがリビングのドアをガチャ…と開けて入ってくる。
「はぁー…くそゲーすぎておもんねェ…。
腹減った。黒霧…何か飯。」
「おいおい、お前…開口一番に飯って…
黒霧はお前のかぁちゃんじゃねぇんだぞ?」
弔くんに続いて入って来たスピナーさんが呆れたように言う。
『ぁ…じゃあ、私が何か作ろうか?』
キッチンカウンターで忙しそうにしている黒霧さんを見て、いつも食事の準備やその他諸々のお世話をしてくれている黒霧さんに代わって名乗り出た。
「ぇ、まじで?…の飯、食えんの?」
弔くんが何となく子どものようにキラキラした目をして言っているように見える。