第8章 超常解放戦線
『…弔くん、どこにも行かないで。
離れないで…みんな、ずっと、一緒がいい…』
「…ん。どこにも行かない。お前からも離れない。
もし、お前と離ればなれになっても…
俺はいつもお前の事を想ってる。
の事、ちゃんと憶えとくから…。」
『うん…離れないで…。
ずっと側にいて…私の事、忘れないで…っ。』
俺は不安そうに瞳を揺らすをもう一度安心さすように抱きしめた。
どうして急にがこんなに不安そうにするのか概ね検討はついている。
ギガントマキアを屈服させた暁にはそれなりの力を与えるとのドクターとの約束。
それが、を不安にさせている。
俺が泥花市の戦いで本来の個性を取り戻した際に、その力があまりにも強大であるがために、俺自身の肉体もダメージを負ってしまうという弱点を生じることとなった。
そこで長年の研究によって、先生とドクターはこの弱点を克服する方法を既に手に入れていた。
更なる力を得ることを望んだ俺は、ドクターによる改造手術を受けることを決意した。
その事をつい先日、連合のメンバーとハゲの仲間の一部だけに公表した。
俺も詳しい事はわからねェが、その手術は4ヶ月間体力的にも精神的にも苦痛を味わう苦しい手術らしい。
得体の知れない手術には大きな不安を抱いている事はその話をした時にわかった。
「…心配する事は何もない。
大丈夫だ……。俺を信じろ…」
『…ぅん…信じてる…弔くんの事、
信じてるよ…っ。』
「…ん、いい子だ。ほら、もう泣きやめ。
支度もある…、髪乾かしてくれねェか?」
俺の腕の中でまだぐずぐず泣いているの頭を優しく撫でてやり、大きな瞳に溜まった涙を親指で拭ってやるとやっと泣き止み、鼻を啜りながらコクン、と小さく頷く。
それから部屋に備え付けてあったドライヤーを手に戻ってくると、プラグにコンセントを挿して、またイスに座る俺の髪を優しく丁寧に手櫛をしながら乾かしてくれる。
のその心地良い手付きについ、ウトウトしてくるとそっと目を閉じて身を任せる。