第8章 超常解放戦線
『…そう言えば圧紘さん、会議終わったの?』
「あぁ、今終わって戻って来たところ。」
『毎日会議、お疲れさまです。』
「…ありがとね、ちゃん。」
圧紘さんの大きな手がふわっ…と私の頭を撫でてくれる。
そう、敵連合と異能解放軍が合併してから幹部格となった私たちは新しい組織の取り組みやその他諸々決める事がたくさんあるらしく…。
難しい会議にはもっぱら圧紘さんとスピナーさんが駆り出されて、異能解放軍側の幹部方と毎日長い会議を開き、難しい話し合いが行われていた。
「…それで、今日の話し合いはどうだったんだ?」
「特に進展はなし。
なんせ組織の人数が何十倍も増えたんだ…
それを纏めるのにも一苦労だぜ…っ。」
私にシャンプーされながら弔くんが圧紘さんに今日の会議の内容を確認すると、やれやれ…というように両手を広げて深い溜め息を吐く圧紘さん。
「ぁ…あと、お前の怪我の調子が
良くなってきたなら、
お前にも会議に出て欲しいとよ。
あのハゲが言ってたぜ。」
「…あぁーーだりィーーーー……。
出たくねェーー…。」
「まぁ、そう言うなよ。
お前がいねェと進む話も進まねェし…
今じゃ、この何十万人の頂点なんだしよ、
頼りにしてるぜ、ボース。」
「…ハァーー…勘弁しろよなァ…。」
「あと、そろそろ風呂上がれよ。
あのハゲがデリバリー頼んでくれて
もうすぐ飯が届くらしいからな。
それと、そろそろちゃん返せ。
俺も会議で疲れてんだ、お前ばっか
独り占めすんじゃねェ。」
大広間で待ってるな。…ともう一度私の頭をポンポンと優しく撫でると片手をヒラヒラさせながらバスルームを後にする圧紘さん。
「…大人気ねぇなァ…っ。」
『まぁまぁ…普段は穏やかな圧紘さんが
あんなにカリカリしちゃうくらい
会議が大変だったんじゃない?
…許してあげて?』
ぷくぅーと子どものように唇を尖らせて拗ねる弔くんに眉を下げて笑うとシャワーでシャンプーの泡を丁寧に流していく。