第7章 囚われのお姫様
「やはり、噂通りの誰もが羨む整った容姿。
世にも珍しい治癒個性の連合のお姫様か…。」
『…ぁ…貴方は…?』
ぺらぺらと一人で喋り納得している男の人を不安気に瞳を揺らして見つめながら尋ねる。
「…あぁ。紹介が遅れたね。
私はデトネラット社、代表取締役社長及び、
異能解放軍 最高指導者、リ・デストロだ。
手荒な真似をして悪かったね。」
『…異能…解放、軍…。』
リ・デストロの言葉に聞き覚えのある言葉を思い出すかのように小さく呟くと、確か少し前に弔くんが本が売れてるとか何とか言ってた気がする…。
「君は敵連合を誘き寄せる為の人質。
…いわば囚われのお姫様だ。
君の事は少しばかり調べさせてもらったよ。
どうやら連合の連中は君の事を
とても大切にしているみたいだね。
そんな君が囚われの身となっていると
わかれば必ずヤツらは此処へ来るだろう…。」
『…貴方の…貴方がたの目的は何ですか…?』
ワイングラスを片手にリ・デストロの後ろに従うように1列に並ぶ、異能解放軍の幹部たちを見て尋ねる。
「…目的?
それは我々の手で敵連合を潰し、
解放軍再臨の狼煙とする!!」
ワイングラスを掲げ、高らかと声を張り上げて言うリ・デストロの言葉に賛同するように笑みを浮かべる幹部たち。
「潜伏解放戦士11万6516人。
すでに決起の準備はできている。
11万の我らとたかが数人足らずの敵連合。
勝負の結果はもう目に見えている。」
『…じゅ、11万……っ。そんなに…ッ…』
「なんとでも言え…君たちは名を上げ過ぎた。
此処で潰さなきゃならないのさ…。」
リ・デストロの言葉に私が一人で買い物なんかに行かなければ…
圧紘さんの言葉に大人しく従って着いてきてもらっていればこんな事に巻き込まれてなかったのに…
私の存在が…敵連合のみんなを…私の大好きな、大切な人達を危険に晒している…。
そんな事を頭の中でぐるぐるぐるぐると考えているとふと、後方の扉が開く音がして視線を向けると…
『…義爛おじさま…ッ!?』
黒スーツにサングラスを掛けた男の人に両脇を抱えられながら、顔が血塗れだらけの義爛おじさまの姿に瞳を大きく見開き、驚いたように大きな声で呼び掛ける。