第6章 突然の別れ(♡)
「所在地を知られたくないので
転送で招かせてもらった。
死柄木以外は初めましてかな?
ギガントマキア同様、オールフォーワンの側近、
氏子達磨じゃ。今適当に付けた名じゃ。」
すごく適当な自己紹介をするドクターこと、氏子達磨。
「…まさか、この敵連合に珍しい治癒個性の
お嬢さんがいるとはな…。
実に気になる個性だ。」
個性の事になると目の色を変えて上から下までまじまじと見つめるドクターに小さく身震いすると、圧紘さんの腕にぎゅっとしがみ付き。
「…そんな目で見るな。
はやらんぞ。ドクター。」
「わかっとるよ。そう怒るな、死柄木よ」
弔くんが紅い瞳を鋭くしてドクターを睨みつければおどけたように言うドクター。
そしてここに呼んだ本題は、弔くんにドクターの全てを捧げるのに値するかどうかを見極めたいと…。
弔くんが先生に拾われてからの事をポツリポツリと話し出す。
記憶が、先生とドクターに出逢う以前の事はよく覚えていないらしい。
弔くんの崩壊の個性は突然変異種、誰にも知り得ぬ個性が発現してその手で家族を殺めてしまった。
弔くんの身体に付いている手、これは弔くんの家族の手らしい。
これを身に付けると怒りが沸々と湧いてくるのに、不思議と落ち着く…。
そして神野事件からずっと考えてた…。
ヒーロー社会が崩壊したとして、裏の支配者になったとしても…この鉛が消える事はない。
「…俺はきっと全部嫌いなんだ。
息づく全てが俺を苛つかせるんだ。
…じゃあもう壊そう。いったん全部。
アンタは世にも美しい地平線を見られるよ。
だからドクター、手を貸せ!
地獄から天国まで見せてやる…っ!!」
弔くんが胸の内を明かすとドクターが笑い出し、力を貸そうと言ってくれた。
「…弔くん、物騒な事考えてたのですね。
ねぇ、私の好きなものまで消しちゃうの?」
「…仲間の望みは別腹さ。好きに生きてろ。」
ヒミコちゃんの疑問に弔くんが応えるとやったーー!!と飛び上がるヒミコちゃん。
そしてドクターは元より協力してくれるつもりだったらしい。
ただ条件があるらしく、最低限の格を付ける事。
ギガントマキアを屈服させる事だった。
その時に全てを弔くんに捧げてくれるらしい。