第6章 突然の別れ(♡)
「…おい、イチャつくならよそでやれ。」
「んもォー…邪魔しないでよボス〜。
今ちゃんとの甘い時間過ごしてたのに…」
弔くんの不機嫌そうな低い声にさして驚きも動揺もせずにおどけたように言う圧紘さん。
【ピリリリリリリィー‼︎ ピリリリリリリィー‼︎】
すると圧紘さんのスマホが着信を知らせる。
私と弔くんから少し距離を取り、スマホの着信ボタンをタップして電話に出る圧紘さん。
そんな圧紘さんを見て弔くんと目を合わせて小首を傾げる。
「……はいはい、わかった。ありがとね。
んじゃ、また…はいよ。」
通話が終わって圧紘さんが戻ってくる。
「…ボス。今、トガちゃんから連絡があって
八斎會に動きがあったらしい。」
圧紘さんの言葉にハッと顔を上げる。
「八斎會の本拠地にヒーロー達が押し掛けて
今、ヒーローとヤクザがやり合ってたらしいが
治崎が捕まって敵専用病院に送られてるらしい。
詳しい情報はまた追って連絡してくれるらしいが
おそらくこのルートで護送車で治崎が
送られてるんじゃねェかと…」
圧紘さんがヒミコちゃんから転送されたデータを弔くんに見せる。
「…核の子は手に入らなかったらしいが、
おそらく完成品の方はソッチに
あるんじゃねェかと思うってよ。」
「…そうか。
よし、準備しろ。行くぞ…。」
弔くんの言葉に空気が引き締まった。
手っ取り早くその辺りに止まっていた配送トラックを盗んで目的の場所へスピナーさんが運転をして、助手席に私が座りナビ係をして高速道路を走行している。
圧紘さんと荼毘さんは計画実行担当なので配送トラックの荷物入れの中で待機しており、何故か弔くんはトラックの上で胡座をかいて座っている。
「…んぅー、言ってた通り来たぜェ。
八斎會から最寄りの敵専用病院へは
この高速に乗るのが一番早い。
連絡ありがとねェ〜。
トガちゃん有能で、おじさん頭上がんねェや。」
トラックの荷物入れの扉が開くと圧紘さんがスマホを片耳にあてながらヒミコちゃんと連絡を取り合っていた。
ヒミコちゃんの情報通り、予定通り治崎を乗せているいる護送車が走ってきている。