第6章 突然の別れ(♡)
「うん、俺が初めてちゃんにあげた花。
…覚えてくれてた?
俺の腕はこんなになっちまったけど…、
俺の好きなマジックもこうしてまた
できるようになったし…。
それにほら…こうしてまたちゃんを
抱きしめる事だってできるようになった。
…だから、そんな悲しそうな顔しないで…ね?」
私がお花を受け取るとそのまま腕をぐっと引かれて圧紘さんにきつく抱きしめられると、ポツリポツリと紡がれる圧紘さんの言葉。
圧紘さんは現実を受け入れて前へ進もうと向き合おうと頑張っているのに、いつまでもウジウジとしている自分に申し訳なく感じる。
『ごめんなさい…圧紘さん。
圧紘さんはもう前へ進もうと頑張っているのに
私がいつまでもこんなんじゃダメですよね…っ。
もう私、ウジウジしません!
圧紘さんの左腕になれるように…、
この先もずっとずっと…
圧紘さんを支えていきたいです』
「ありがとう…ちゃん。
何だかプロポーズされたみてェーだな。
まぁ俺も、ちゃんを手離すなんて
さらさらねェけどな。」
圧紘さんがクスクスおかしそうに笑うのが移って、私も何だかおかしくなって小さく笑うと、さっきまでウジウジしていた気持ちが嘘のように晴れやかになった。
そして久しぶりに圧紘さんのマジックを見せてもらった私は、本当に楽しくって、わくわくして心から満面の笑顔で見ていた。
「…やっぱちゃんは笑ってる顔が一番だな。
俺はこの笑顔が見たくて、楽しませたくて、
エンターテイナーになった。
俺はこの笑顔を…ずっと守っていきたい。」
ふと、圧紘さんの手が私の頬に触れて…愛おしそうに見つめる綺麗な茶色の瞳にトクン…ッ、と胸を高鳴らした。
「…ハハ、ちゃん顔真っ赤。
そんなところもすげェー好き。可愛い…。」
『…恥ずかしぃ……あんまり見ないで…っ。///』
「なんで?もっと見せて……
………俺しか見てないから…っ。」
すると右手と左手の義手で優しく両頬を包み込まれるとクィ…ッ、と顔を上げられ、唇が触れ合いそうな距離で圧紘さんの甘くて低い声で囁かれる。