第6章 突然の別れ(♡)
マグネさんが殺された事、圧紘さんの腕をぶっ飛ばされた事、トゥワイスさんが自分が不用意に連れてきたから起こってしまった事…。
その後悔の念が滲み出るほどの声で訴えているのに、八斎會との協定を結ぶ事に一歩も引かない弔くん。
そして何も言わないヒミコちゃんにも何とか言えよ!!と問いかけるトゥワイスさん。
「…弔くんにとって私達とは何でしょう。
私にとって連合は気持ちがいい…
ステ様がきっかけでした。
私も私のやりたいように…生きやすい世の中に…
できるものならしてみたいと思うのです。」
廃墟にあったグランドピアノの上に座っていたヒミコちゃんがピョンっと立ち上がり、クルクル踊るように回りながら想いの内を打ち明ける。
「…ねぇ、弔くん。
何の為に辛くて嫌な事しなくちゃいけないの?」
ピッ、と弔くんの首筋にナイフを突き当てながら尋ねるヒミコちゃん。
「…そうだな。
俺と…お前達のためだ。」
すると顔に付けていた手をゆっくりと取り外して、紅い瞳で見つめて言う弔くんのあの顔を…私はこの先忘れる事が出来なかった。
数日前に一人で死穢八斎會へ赴いた弔くんの話では、向こうは連合の起動力を削ぎ、かつ優良な個性のトゥワイスさんとヒミコちゃんを懐柔したいらしい。外堀から取り込んで従えたいらしい。
初めから対等になんて考えていなかったと…。
「トゥワイス!!
…責任を取らせろと言っていたな?
こういう取り方もある……」
俺は……“ お前たちを信じてる ”
そして私は弔くんの言葉に目を見開き、身体が震えた。
初めて弔くんの本心を見たような……そんな気がしたから。
弔くんが信じると言ってくれた…だから、私も…弔くんを、この敵連合のみんなを信じて、私が私である為に…私の思うまま…やりたいようにやるだけだと改めて心に誓った。
そして弔くんが死穢八斎會から持ち帰ってきたもう一つの情報。
圧紘さんの個性が出なかった原因となった赤い銃弾。
それはオーバーホールこと、治崎が組織で密かに作っているという個性を破壊する銃弾だった。
あの時、圧紘さんは銃で個性破壊弾を左腕に撃たれたため、個性が発動できなかったらしい。
治崎が目指している計画とは、それを使って個性によって成り立つ現在のヒーロー社会の在り方を根本から変革することであるという。